シャングリラのウィキです

「持った身の丈に合わせて生きるのが、もっとも幸福なことだと思わないのか?」

「……ではな、どうか死後の世界では壮健で。神とやらはあんたを迎えてくれるだろう。
 あんたは良い働き手だったが、もう陛下の治世を腐らせる邪魔者でしかない」

「君たちは知らないだろう、我らのことを。この国のことを、この世界のことを。
 他でもないこの我らが、そうなるようにしたのだから当然だ。
 この国を変える──おおいに結構だ。いくらでもすればいい。……費やした我らのこの五千年を、たった数百年のあがきで超えられるものなら」

「俺は死にたくないから、カレに肩入れしただけだ。前に進みたくも後ろに下がりたくもないから。愚かだと、どうか笑ってくれ」

名前:ストック・ザーバスノット

性別:男性
年齢:33

役職:王族

性格

 高潔さを絵に描いたような顔をした、遊びの少ない質実剛健の人──そう見えるよう、血のにじむような努力で自らを飾る人。
 頑固というわけでもなく、部下からの意見もそれが理にそぐうものであれば柔軟に取り入れる。
 設立において彼の関わった制度はすべて「限られた民だけを確実に富ませること」に焦点を置かれ、自らに生まれながら課せられた役割をその形通りに終えよと説くように厳格な身分制度の上に成り立っている。
 全てはかぎられた民を美しく育て、斜陽の国を不可侵の国とし続けるため。王族はそれをよりよく育てる者であるため。そうでないと死んでしまうから。
 陛下に認められなかったものであると生まれたから、残る七割の民が虐げられることも諦めるべきなのだ──そう信じてきたが、10年前の聖女の処刑を期に自らの役割を悟ることとなる。
 いつかあの降り注いだ光に焼かれ、いつかむごたらしく死ぬことになるだろう我が身を、彼は知っている。生きのびるための僅かな蜘蛛の糸を探し続けながらも、つかの間の調和と現状維持に心血を注ぐ男。
 冷徹な男だが、情がないわけではない。婚約者や部下、つながりのある相手のことは相応に気にかける。

容姿

 身長175cm。絹糸のような金髪を短くまとめ、炎を思わせる真紅の瞳を輝かせた美貌の青年。
 王族として外に出る際は冷たい表情ばかりが目立つが、部下や王族に対しては穏やかな笑顔で接する。
 自らの指揮する親衛隊に混ざって訓練をすることも多いその身体つきは無駄なく鍛えられ、軍人と比べても遜色なく作り上げられている。
 持って生まれた美貌も重要な仕事道具。であるため武器を握る手に至るまで王国内の科学技術を応用して白く美しく保っており、その内情を知らぬ者にとっては苦労を何一つ知らぬ王族に見られることもままある。

天恵


『ヒポクラシー』

 無数の光の剣を編んで形作られた翼を生やす天恵。
『翼』は矢や槍のように降り注がせて物量に任せた攻撃が出来るだけでなく、その形の通り大きく高度は出せないが高速で飛行をすることも可能。
『翼』を自分の体の前に拡げ盾として扱うこともできるなど、対応範囲が広く極めて汎用性の高い天恵。

 その最大の弱点は、放つ『剣』への損傷はストック本人に痛覚としてフィードバックされること。幾らでも物量に訴えぶつけることは可能だが、大量に放ちそれが全て壊されてしまえば当然ストックに致死量の痛みが降りかかることとなる。
 その痛みを形容することは出来ないが、ストックはその痛みをしばしば「魔女の受難の真似事」と例える。

備考

 一人称「私(対外的に)」「俺(親族や直属の部下の前)」二人称「君」「あんた(気心知れた相手)」。
 素は結構フランクどころか少しぶっきらぼうですらあるが、その口調で接することのできる相手はほとんどいなくなって久しい。

 対外的には差別意識の強い王族として通っている男。王に近づきより利潤を得るためにと完璧な教育を与えられて育つが、悲しいかなそれが彼に与えたものは「正常な」自己判断と価値観だった。
 彼の価値観に大きな差別はない。ただ、国を回すために『多少の』地の底をはいずるものが必要であると知っているだけ。
 そのような価値観を持っておきながら心を壊すことなくこの年齢まで生き続けているのは、ひとえに彼が自分自身の死に、そして彼自身の死による国の運営の遅滞に恐怖を感じているから以上でも以下でもない。
 実際のところすべての政策は「王の眼鏡に敵うだけの優秀な王族であるため」に拠ったところが大きく、高潔で誠実な男の顔すらすべて自己保身のための仮面だと彼自身は嘯く。
 長年自分の直属となっていた親衛隊員が反逆軍と繋がっていることを知り、それを自らの手で処断し「名誉の戦死」と偽装した経験がある。現在の性格はその経験によって構築されたところも大きく、彼の持つ諦観を強めるきっかけとなった。

 間違いなく善人だが、それは世を変えるための行動につながることはない。それをするだけのモチベーションは数年前の彼に降りかかった事件によって折れてしまった。最低でも、今は。
 けっして強い人間ではない。彼を動かすのはただ、人間に誰にでもある生存欲求とあきらめである。死後の世界というものがあれば、そこで永遠の責め苦を受けることはわかり切っているから。

 主には貴族の管理区域の中の調停・管理を任されているほか、王国を円滑に回すための新たな政策の立案・運営にも深くかかわっている。
 好きなことは、一人の時間に自分で入れる紅茶で迎えるひとときの休憩の時間。イメージCVは石井真。イメージカラーは赤銅色。

募集

  • 親族同士の取り決めによる婚約者
 ⇒フレイジア・ザーバスノット
  • 直属の部下
 ⇒モルフォ
  • ストックと(個人的に)繋がりのある親衛隊
 ⇒エルンスト・オーウェル
  • 厄介ごとを持ち込んでいる貴族
 ⇒トゥーリ・クサントス

絡み状況

  ⇒一章と春と労働の祝日にて、彼の戯れに付き従う。
   あらゆる意味で、「ストック・ザーバスノット」のすべてを形作るいと高き人。──その内情はともかくとして。
  ⇒一章にて、状況の整理のために彼の部屋を訪れる。
   いつもの会話、いつものやり取りだった──『彼』が現れ、不穏な平穏の終わりを告げるまでは。
 ⇒一章後日談・春と労働の祝日にて、わずかな休憩がてら彼と語らう。
  理想の偶像として存在する彼の足元にからみつく深遠を、他の者がそうであるように、ストックが知ることはなかった。
 ⇒二章・仮面舞踏会にて、彼女を迎えに行く。
  陛下の宣言にかわいそうなほど怯える彼女を目にして、嫌な予感と当たってほしくはない予想の欠片を胸に抱く。
  ……なお、春と労働の祝日でモルフォに頼んだ「贈り物」の様子については、目立たない程度にそれとなく気を配っている。
 ⇒二章後日談にて密会。
  互いに抱える後ろ暗いものを知りながら、そのうえで目的のために協力する相手同士であることを確認し、そしてひとつの決意をする。
  それはまぎれもなくこれまでの「ストック・ザーバスノット」の行動とは少しだけ外れたものだったが、彼の胸に秘めた目的にはおそらくもっとも近道と思われるもの。

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