シャングリラのウィキです

「なんで裏切ったのか、って、そりゃ順番が違う。
 手を切ったのはあちらの方。私はそれに『何故』を問うため、ここにいるんだ。
 ……神のような顔をしているこの国の王族は、お前は何だ、命を勝手に差配して何をするんだって、そう問いただせってな。こいつが背を押すんだよ」

「怪我? この間の戦闘で? やだな、ちゃんと応急処置はしてるし──おいコラめくるな! 大した傷じゃねーの!
 急いでたから傷口焼いたりはしたけど、やだ、消毒はちょっと……コ……ラ゛ッ、アアアーッ!」

「『どうして』しか言えなかった弱い女は死んだ──私はシエラだ、私は強い! 何もかも、胸倉掴んで全部引きずり出してやる!」

「うる、さい、な……まだ死んでない。まだ、負けて、ない。
 私は、問うべき人へ問うまで、絶、対に、死なない」

シエラ

性別女性
年齢25歳
役職反逆軍の神器使い『大天使』 兼 反逆軍の天恵使い

性格

 即断即決をモットーとする、飾り気のない女戦士。
 こざっぱりとした物言いときつい顔つきでひと目見ると一匹狼ふうだが、声が大きくて常ににぎやかな直情型。
 その印象から察せられるように一本気の通った性格で、良くも悪くも熱くなりやすくお人よし。くわえて疑念を抱いたことに対して突き詰めなければ満足が出来ない性質。彼女を現在の立場にしたのは、間違いなくこの性格のせい。

 その歩みに影など存在しないように見えるが、シエラを支える感情のひとつは間違いなく怒りである。
 華やかな王国に隠れた無数の天恵使いたちの犠牲は、正しき人たちはどうして苦しみ歯車に磨り潰されなければならなかったのか──どうして、自分と「彼」はこうなってしまったのか。
 燻る怒りが正しきものであるよう常に自己に、そして対峙するかつての同僚にも問いかけ、弱者を守るための苦難の道行きを進む、激情と決意の人。

容姿

 身長180センチ。ナイフでざっくりと短く切った鮮烈な紫色の髪に同色の瞳。
 生来の髪色と目の色はそれぞれ黒髪とやや暗い青であったが、神器に適合すると同時にその色が変質した。
 つり目がちできつめの顔立ちだが、くしゃりと笑うと案外幼げに見える。
 親衛隊時代と比較しても輪をかけて日焼けし放題の肌と、恵まれた体格をたゆまぬ努力で鍛え上げた姿は、使命感に溢れた女戦士の風情。胸筋の下地があるため胸はたいへん立派。体も相応に分厚いため、女性と歩くと男性と間違われがち。
 かつての親衛隊としての資産は殺されかけた時にすべて手放したため、おおむねタンクトップにほつれの目立つパンツの組み合わせを着まわしている。

天恵

『デアデビル』

 体外に排出した自身の血液を操る血液操作・血液硬化の天恵。
 血液を付着させ、シエラの身体およびそこから派生する装備品に纏わせることが可能。硬化した血液は軽さと鉄の硬さを共存させる。
 広範囲に広げ盾のように展開すること・これを他者に纏わせることは本人の性格も手伝い完全に不可能。
 局所を覆い動きを助ける鎧とする・または武具の強度補強と射程拡張・弾丸のように飛ばすことが主な使用用途となる。
 後述の神器と合わせてより向こう見ずな血液の消費を行うことができるようになったぶん、親衛隊時代より大胆な使い方をとるようになった。

神器

懐疑する大天使QUIS・UT・DEUS

 クイス・ウト・デウス。
 シエラ本人は単に「大天使」または「ミハイル」と呼び、時に友のように語り掛ける。
 刃渡り1メートル弱のバスタードソードの形状をした神器。一度引き抜けば刀身を覆うようにディープパープルの光が発生する。
 その力は単純、恐怖を克服しようとする意志を力にすること。
 精神能力を強化する作用はなく、神器がどれほどの力を発揮するかどうかに関しては使い手の精神性に極めて依存する。
 剣が纏う精神の光を拡張することで、最大5m程度まで刀身の拡張が可能。

 何よりこの神器の最大の特徴は、精神の強さに応じて肉体の耐久力を上げること。
    ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・
 即ち「まだ立てる」という意思が肉体を凌駕さえすれば、たとえ肉体が死の淵にあろうとも何度でも立ち上がる力を与える。
 足を切られようが、腹を裂かれようが、その意思が砕けない限り何度でも。
 神器という「モノ」によって与えられる力であるため、最大の弱点は剣を握るための腕を封じられるだけで効果が消滅すること。神器を完全に手放せば体は自然の摂理に従うため、肉体が限界を迎えていれば当然朽ち果てる。

装備

 ──

備考

 一人称「私」二人称「あんた」「あなた」
 低い地声に、人前では女っけの薄い男勝りな口調。
 箔づけに自分を強く見せることを意識しすぎて女性らしさが極めて少なくみられるが、本人がそれをけっこう気にしている。

 反逆軍の天恵使いにして『大天使』の神器使い。
 親衛隊から口封じによる粛清を生き延びて反逆軍入りしており、本来の名は「アマリア」。
 既に村にも国にも「アマリア」は死んだと報じられているため、反逆軍入りする際に別の名を名乗り村へ不要な嫌疑がかかることを避けた。
 イメージカラーは鮮烈なディープパープル。

 生まれは比較的帝都に近い位置にあり、中心部のおこぼれに与れるやや豊かな村。
 その状況ゆえ王国に従うことに疑いを持つことなかった両親によって、自然な流れとして王国へ差し出され親衛隊としての経験を積むことになる。
 実直すぎるが故上官にも迷わず意見する人柄が、場合によっては貴族の不興を買うということで、昇進はあまり思わしいものではなかった。
 それでも任務にはしぶしぶ臨んできたが、そうなる背景には彼女が親友と呼んだひとりの同僚の存在があった。
 守るべき貴族や帝国の人々を尊び、王国に仇なすものの芽を摘む任務にあっても腐ることのない男。
 彼女よりもだいぶ年上だったその男は何かにつけて先輩風を吹かせてきたが、そいつの語る理想論を彼女は嫌いではなかった。
 自分たちはかならず、内側からこの親衛隊を変えてゆこう──その誓いは、単独で任務に向かった「彼」が還らぬ人となったことで崩れ出す。

 なんでもない任務だと、彼は言っていた。
 すぐに戻ってくるさと、彼は笑っていた。
 その頃からわずかに活性化していた反逆軍の鎮圧でも、王国に逆らった村の焼き討ちでもなかったのだ。
 それでもミシェルは死んだ。なんでもない任務の中で訪れた「戦死」として。
 遺品すら、故郷で待つ家族に帰されはしなかったと聞く。

 信頼していた上官にその死の真相について確かめようとした彼女は、その場で武器を向けられた。
 答えるべきことなど何もなく。このことに疑念を抱いた彼女は、もう隊にいていい存在ではないと。
 逃げる彼女は、王城を脱出しかけたところで追いつかれ、瀕死の状態まで痛めつけられた。いいや、その身体はほとんど死んでいただろう。
 ダストシュートから「廃棄」された彼女の命を救ったのは、たったひとつ担い手を見つけないまま城の中で凍結されていた『大天使』の神器だった。
 死にかけた血まみれの体では天恵も扱えず、別人のように変じた髪と目に愕然としながらも、塵溜めの中で神器を片手に生きのびる。
 帝都を抜け、彼女は自分の死の報せを見ながら「彼」の死の理由を理解した。
 もう親衛隊に戻れはしないだろうし、神器まで自分に応えてしまった。であれば──とゲリラ活動を続けた彼女は、やがてその動きを掴んだ反逆軍に貴重な神器使いとして迎えられることになる。

 新たな仲間となる反逆軍たちに、咄嗟に名乗った名は親友の名前だった。

 ミシェル──ミシェーラ──シエラ・・・
 それが新しい名前になった。その死の理由を必ず確かめるという誓いのもとに。

人間関係

 ミシェルの直属の上司だった男。
 ──本当に、それだけか?

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